iRIC:River2Dの粗度はマニングの粗度係数ではない!

アイキャッチ, iRIC-roughness River2D

川底の凸凹を表す粗度係数は、土木工学を学んだ方ならマニングの粗度係数として馴染み深いものですが、iRIC/River2Dの粗度はマニングの粗度係数とは違います。

iRICはフリーの河川数値シミュレーションプラットフォームです。

マニングの粗度係数

マニングの粗度係数の説明は教科書やネットをみていただいた方が早いです。広く使われているので、どのくらいの値を使えば良いのかすぐにわかります。

しかし弱点もあります。水深が浅くなり、河床材料径の中央値の3倍以下になると、粗度係数を大きくしないとマニング公式の計算が実測と合わなくなってくるのです。

かなえさん
かなえさん

つまり下の写真のような場所だと、洪水の時の流れと普段の流れじゃ同じマニングの粗度係数を使うことができないってことね?確かにそんな場所はいくらでもありそうね!

このような場所では洪水時の流れと普段の流れでマニングの粗度係数を変えなければいけなくなる
このような場所では洪水時の流れと普段の流れでマニングの粗度係数を変えなければいけなくなる
さかいさん
さかいさん

横から失礼。上の写真の人たちはウェーダを着用しているけど、上流に向かってころぶとウェーダの中に水が流れ込んで風船状態になり、立ち上がれなくなって溺れ死ぬこともあるよ。きちんとベルトを締めて膨らまないようにしたり、かならず複数で行動するなど十分気をつけてね。

River2Dの粗度は「粗度高さ」

粗度高さは、最大河床材料径の1~3倍の値と言われ、マニングの粗度係数より水深変化に対する変化が小さいとされています。River2Dでは、伏流水を問題にしなければならないほど浅い流れも計算しますので、マニングの粗度係数ではなく粗度高さを使っているのです。

素人ユーザーとしては、最大河床材料径の1~3倍と言われた方が具体的で理解もしやすいですよね!しかし、マニングの粗度係数があまりにも有名なため、River2Dの計算でも間違えてマニングの粗度係数を使ってしまう人が多いです。注意してください。

SKラボ
SKラボ

でも結局は、末尾の参考文献(P.3)でも粗度係数の重要性は低いと書かれてしまっています。別の稿でも言ったように、2次元流況シミュレーションでは地形の再現性の方が重要だからです。だから、間違えてマニングの粗度係数を使っていても気がつかないことが多いんですね。逆に参考文献では、おかしな粗度係数の値にしないと流れが再現できないなら、地形を疑えと書かれています。

マニングの粗度係数と粗度高さの換算

換算方法がわかっていると便利なこともあるので、式を書いておきます。

Ks = 12H / exp(H^(1/6)/(2.5n√g))

Ks: 粗度高さ、H:水深、g:重力加速度、n: マニングの粗度係数です。

Have fun!

iRIC/River2Dまとめ:河川の流れを計算する
無料の流況シミュレーションソフトウェアiRICが河川の流況計算を誰でも手の届くものにしてくれました。iRICの数あるソルバーの中でも生物生息場評価に適したRiver2Dを中心に説明します。

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