SKラボは長年Windows派でしたが、バッテリー駆動時間に惹かれてM1 MacBook Airを導入しました。しかしiRICがmacでは動作しないため、長期出張時にはMacBookとWindowsノート2台持ちになっていました。最近Parallels DesktopでWindowsが結構使えるとの噂を聞き、iRICを実行した場合の実用性を調べてみました。
Parallels Desktopインストール前の期待と不安
Parallels Desktop (買い切り版)に対する心配もさることながら、初めて使うARM版Windows11。そもそも同じWindowsなのか?x64用アプリがまともに動くのか?不安です。でも、intel mac用のMetashapeがM1 macでもRosetta2の下で健闘していたので、期待しましょう。
第一印象は「macを汚してしまう!」
インストールは簡単なので省略します!外見はまったく普通のWindows11ですね。以前からWindowsのHyper-VやVMwareなどの仮想PCは結構使っていたので、mac上にmacとはかなり独立したWindows環境ができるのかと思っていたのですが、まずデフォルトでデスクトップがmacと共有されていることに驚きました。下図ではデスクトップ画像は異なりますが、フォルダの多くは共有されています。ダウンロードやドキュメント、ピクチャなどの主要なフォルダもmacと共有しています。「macを汚してしまう!」というのが第一印象でした。
でも、だからこそシームレスな使い方ができると気づくと、まあこれも良いかと思い始めました。ごみ箱やProgram Filesなどは別になっているし、本来のWindowsのDocumentsフォルダなども存在はしているので、工夫次第で使い方が広がりそうです。
iRICのインストール
iRICのインストールはなんの問題もなく普通に終わりました。いや、デスクトップへのショートカットの作成だけはエラーになりましたね。でも無視して進めばインストールはされています。スタートメニューの「すべてのアプリ」から起動すると、普通に立ち上がりました。
Windowsとmac/Parallelsの計算速度比べ
Razer Brade Stelth 13とM1 MacBook Airを使ってiRICの同じ流況計算プロジェクトの計算速度を比較してみました。この2機種はデザインや大きさ・重さがよく似ており、GPUも実装しているため、携帯性と処理速度の両立を求めるユーザーなら(価格は違いますが)競合機種となると思います。
結果は以下のとおり。
Razer Brade Stelth 13 (Intel版Windows11) | 1時間6分 |
M1 Macbook Air/ Parallels デフォルト設定(4CPU, 6GB RAM) | 4時間44分 |
M1 Macbook Air/ Parallels 最速設定(4CPU, 8GB RAM) | 4時間46分 |
うーん、計算速度はmac/Parallelsの大敗ですね。Parallelsに割り当てるRAMもあまり影響していないようです。M1 macでIntel版Metashapeを動かしたときは遜色ない速度で動いたので、もしやと思っていたのですが、甘かったようです。まあ、Intel CPU用のソフトがARM版Windows上できちんと動いただけでも大したものなのかもしれません。iRICの他、Windows版QGISやArcGISも動きました。QGISはmac版もありますが、たまに挙動が違うことがあるのでWindows版も動けば安心です。
iRICの開発者にmacネイティブ版の予定についてたずねたところ、予定はないそうです。過去にトライしたものの、グラフィックライブラリがWindowsとmacで異なる部分でエラーを起すため、諦めたとのこと。残念です。一方、ごく近い将来CUIベースで複数のiRICソルバーを動作させるiRIC-MIをリリースするとの情報を得ました。これはmacにも対応するとのこと。macでもParallelsでモデルを作成し、iRIC-MIで計算する、といったことが可能になるかもしれませんね。期待しましょう。Have fun!
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