いきものが棲むのはどんな場所?

アイキャッチ, nature-habitat Nature

いきものが棲む場所なんて、魚は水の中、動物は陸の上、わかりきってるって?じゃあ、魚を釣ってきてと頼んだら簡単に釣れるかな?簡単に釣れないから釣り人は熱心に魚が棲むポイントを捜すんだよね。それが理屈でわかるなら凄くない?

マクロ生息場:そもそも生きることができる環境かどうか

地上のいきものは宇宙空間では生きられませんよね。水や空気や適度の温度が必要だからですね。それほど極端な例でなくても、魚は水中にしかいないし、イヌやネコは陸上にしかいない。シロクマは極地にしかいないし、ライオンは暑い国にしかいません。

このように、比較的広いエリアで均一と考えてよいような気温・水温などの環境条件で、そもそも生きることができるかどうかが決まります。このような観点での生息場をマクロ(巨視的)生息場といいます。(マクロ生息場には、単に大きく複雑な生態系といった別の定義もありますが、本稿では上記の立場をとります。)

マイクロ生息場:生きることはできても嫌いな場所もある

一方、適度な温度の水さえあれば魚が棲むなら、川に行けばどこでも魚が釣れるはずですが、実際には特定のポイントに行かなければ釣れません。マクロ生息場の観点では生息できるはずの場所にも、好きな場所、嫌いな場所があるのです。こうした観点での生息場をマイクロ(微視的)生息場といいます。(別の定義もあるのは同上です。)

SKラボ
SKラボ

好きな場所、嫌いな場所を決める3つの条件があると言われています。この3つの条件すべてを満たした場所に、いきものは好んで棲むわけです。それらは・・・

エネルギー的優位:ラクにえさが摂れるか

えさを捕まえるために、えさを食べて得られるエネルギーよりたくさんエネルギーを使ってしまうようでは痩せる一方ですよね。ラクにえさが食べられなければ、良い生息場とは言えません。

再生産の成功:子孫を残すことができるか

えさを食べることができても、子供を産み育てる環境がなければその種はジリ貧です。

生物的相互作用:ほかのいきものとよい関係が築けるか

天敵がいるかどうか、寄生・共生生物がいるかどうか、など、他のいきものとの関係が重要になる場面も多いのです。そもそも、同じエサ、同じ生息環境を必要とする生物は、その場所(ニッチ)に1種しか生息できないと言われています。

そうた
そうた

3つの条件はわかったけど、具体的にどんな場所なんだろう。人間なら、コンビニと病院があればいいってことかな?うーん、天敵は学校?

かなえ
かなえ

ウイルスなんかが天敵じゃない?それにしても、いきものの種類によって3つの条件のなかみも違うよね。クジラがコンビニのお弁当を食べるとは思えないし・・・

3つの条件が具体的になんなのかは、いきものの種類や、周辺の環境によって違います。だから、どの場所のどのいきもののことを考えるか決めないと、それ以上の検討はできません。でも、3つの条件のことを知っていると、具体的な問題に出会ったとき何を調べれば良いのか考えを整理するには大いに役立ちます。あと、水の存在を4つ目の条件にすることもあるのは覚えていてもいいかな。

SKラボ
SKラボ

いろいろないきものについて、この3つの条件を具体的な環境条件に置き換えて式にしたHSI (Habitat Suitability Index; 生息場適性基準)が研究されているよ。”Habitat suitability index” とか”Habitat suitability model”とか”HSI”とかでググってみてね。 Have fun!

コメント

タイトルとURLをコピーしました