QGIS:ブラウザパネルの機能と落とし穴

QGIS

ブラウザパネルには便利な機能がある一方で、単純なファイルのコピー・移動ができません。Windowsエクスプローラでファイルのコピー・移動をすることになりますが、そこには落とし穴があります。しっかり理解してください。

QGISはフリーでオープンソースの地理情報システムです。

かなえさん
かなえさん

この前そうたくんに貰ったshpファイル、開かなかったわよ。

そうたくん
そうたくん

えー、ちゃんとhogehoge.shpってファイルをUSBにコピーしてあげたよね?なんで?

ブラウザパネルでできること

下図に、いろいろな状態のブラウザパネルの様子を示します。

①は「選択したレイヤを追加」で、ブラウザのファイル上でダブルクリックするのと同じ働きです。②は「再読み込み」です。QGISのブラウザでは、新たにファイルを作成しても表示されないことがよくあります。その時このボタンをクリックすると表示されるようになります。③は「ブラウザのフィルタ」です。これをクリックすると、⑤の検索窓が現れ、ここに記入した文字列と関連あるフォルダが表示されます。④をクリックすると検索方法に関する設定ができます。⑥は「すべて折りたたむ」で、展開したフォルダが閉じます。⑦は「プロパティウィジェットの有効化/無効化」で、クリックして有効化した状態でファイルやフォルダをクリックすると、ブラウザパネルの下にプロパティを表示するパネルが現れます。ファイル上で右クリック⑧して「レイヤのプロパティ」を開くのと同じです。

ブラウザパネルの機能
ブラウザパネルの機能

下図⑧はファイル上で右ボタンクリックして現れるメニューです。「レイヤエクスポート」は別の名前や別のフォルダにファイルをエクスポートしますが、単なるコピーではなく、同時に座標系の変換その他の操作もできます。便利ですが、何をしているか理解して使う必要があります。「レイヤをプロジェクトに追加する」は前図①と同じ、「レイヤのプロパティ」は前図⑦と同じです。「管理」からファイル名の変更と削除を行うことができます。「ファイルに表示」はそのファイルがあるフォルダをWindowsエクスプローラを開きます。「管理」と「ファイルに表示」はQGIS 3.16LTRにはありませんでした。「ファイルプロパティ…」はWindowsのエクスプローラーのプロパティと同じです。

下図⑨はフォルダ上で右ボタンクリックして現れるメニューです。「再読み込み」は前図②と同じ、「新規」はフォルダやGISデータの新規作成、「ブラウザから隠す」はその名の通り非表示にします。非表示になったフォルダは、一段階上位のフォルダの右ボタンメニューで「非表示アイテム」から回復できます。「色を設定…」でフォルダに色をつけることができます。「スキャン」は、ネット上でも機能がわからないと話題です。気になる方は自分で調べてください。「ディレクトリを開く…」はWindowsエクスプローラで開き、「ターミナルで開く…」はCMD.EXEで開きます。「プロパティ…」はフォルダに含まれるすべてのファイルのサイズ、日付、アクセス権限などを表示します。「ディレクトリプロパティ…」はWindowsエクスプローラでフォルダのプロパティを表示したときと同じです。

ファイルやフォルダ上で右ボタンクリックしたときのメニュー
ファイルやフォルダ上で右ボタンクリックしたときのメニュー

以上からわかるように、ブラウザパネルはGISデータを扱いやすくしたWindowsエクスプローラといった位置づけですが、単純な移動やコピーができないのが難点かもしれません。これらを行うにはエクスポートを利用する必要がありますが、意識せずになんらかの変換が行われる恐れもあるので注意が必要です。単純に移動やコピーをするには、「ディレクトリを開く…」でWindowsエクスプローラーを開いて操作することになると思いますが、若干注意が必要です。次項を参照してください。

ブラウザパネルとWindowsエクスプローラーで、見えるものが違う

下図は、Shapefilesフォルダの中身をブラウザパネル①と前図の「プロパティ…」メニューで開いたディレクトリプロパティダイアログ②、それに「ディレクトリを開く…」で開いたWindowsエクスプローラー③で表示しています。同じフォルダを開いたものですが、ブラウザパネル①にはairports.shpというファイルが1つあるのに対し、ディレクトリプロパティダイアログ②とWindowsエクスプローラー③にはairportsで始まるファイルが4つあります。その中の一つにairports.shpがあるので、このファイル1つをコピー/移動すればよいと考えてはダメです。ブラウザパネルで1つに見えるairports.shpは、実際には複数のファイルで構成されているのです。ですので、コピーや移動する際には、ピリオドの前が同じ名前であるファイルすべてをコピー/移動する必要があります。注意しましょう。

ブラウザパネルとWindows Explorerの見え方の違い
ブラウザパネルとWindows Explorerの見え方の違い
そうたくん
そうたくん

なるほど。今度シェープファイルをあげる時は気を付けるよ。

かなえさん
かなえさん

頼りにしてるわよ! ところで、Windowsエクスプローラーで見えるファイルの中に.dbfって拡張子があるけど、これってどこかで見たことない?

よく気がついたね。何歳だい?これって昔のデーターベースソフトdBASE IIの拡張子だよ。実際、Excelで開くこともできるよ。てっとり早く属性テーブルの中身を取り出したい時便利だよ。でもファイルを壊すとシェープファイルも壊れるから、コピーしてからね。

本稿は以上です。Have fun!

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