世界の水文・環境解析にスグ使えるGSMaP降水データ

RRI

GSMaPは水文流出解析などに使える全世界をカバーする無料の降水データです。全球降水観測(GPM)衛星の二周波降水レーダ(DPR)を主なデータソースとして使用し、2000年3月~4時間前までの1時間毎や、リアルタイム30分毎の降水状況(mm/hr)を公開しています。空間分解能は緯度経度0.1度格子(赤道付近で約11km)です。

GSMaPの概要

GSMaPのウェブサイトを開くと、最新の世界の雨分布速報マップが表示されます。GUIによる操作方法は「1分でわかる!GSMaPウェブサイトの使い方」で要領よく説明されています。また、ユーザーガイドフォーマット説明書など詳しい情報がありますので必要に応じて目を通してください。

GSMaPウェブサイト
GSMaPウェブサイト

データは無料で使用できますが、使用結果を論文などで公表する時にはJAXA/EORC作成によるGSMaP降水プロダクトによるものであることを明記し、できるだけJAXAに連絡することが求められています。また商用利用の場合にはJAXAに事前連絡する必要があります。利用条件利用規約を参照ください。

GSMaPデータをbinary形式csv型式でダウンロードして使用するには、ユーザ登録してパスワードを取得し、ffftpなどを用いてftpサーバからダウンロードします。

ftpサーバのアドレスやID, パスワードはユーザ登録すると送られてきますのでここには記載しません。2023年7月9日現在のSKラボのユーザ登録時に送られてきたダウンロードできるデータとそのフォルダ構成は以下の通りでした。各バージョンの説明や問い合わせ先はメールに記載されていますのでかならず利用者ご自身のユーザ登録時に確認してください。

/now 
   ... GSMaP_NOW (リアルタイム版、0時間遅れ、最新アルゴリズム 2021年12月~)

/realtime (/realtime_ver/v6)  
   ... GSMaP_NRT (準リアルタイム版 Ver.6、4時間遅れ、2000年3月~)
   ... GSMaP_Gauge_NRT (準リアルタイムの雨量計補正版 Ver.6、4時間遅れ、2000年4月~)

/realtime_ver/v7
   ... GSMaP_NRT (準リアルタイム版 Ver.7、4時間遅れ、2017年1月~)
   ... GSMaP_Gauge_NRT (準リアルタイムの雨量計補正版 Ver.7、4時間遅れ、2017年1月~)

/realtime_ver/v8
   ... GSMaP_NRT (準リアルタイム版 Ver.8、4時間遅れ)
   ... GSMaP_Gauge_NRT (準リアルタイムの雨量計補正版 Ver.8)

/realtime_ver/v5
   ... GSMaP_NRT (準リアルタイム版 Ver.5、2008年10月~2014年9月)

/standard/v6 
   ... GSMaP_MVK (標準版 Ver.6、3日遅れ、2014年3月~)
   ... GSMaP_Gauge (標準の雨量計補正版Ver.6、3日遅れ、2014年3月~)
   ... GSMaP_RNL (再解析版Ver.6、2000年3月~2014年2月)
   ... GSMaP_Gauge_RNL (再解析の雨量計補正版Ver.6、2000年3月~2014年2月)

/standard/v7 
   ... GSMaP_MVK (標準版 Ver.7、3日遅れ、2014年3月~)
   ... GSMaP_Gauge (標準の雨量計補正版 Ver.7、3日遅れ、2014年3月~)

/standard/v8
   ... GSMaP_MVK (標準版 Ver.8、3日遅れ)
   ... GSMaP_Gauge (標準の雨量計補正版 Ver.8、3日遅れ)

/standard/v5 
   ... GSMaP_MVK (標準版 Ver.5、2000年3月~2010年11月)
   ... GSMaP_Gauge (標準の雨量計補正版 Ver.5、2000年3月~2010年11月)

/climate
   ... GSMaP_CLM (準リアルタイムの雨量計補正版 Ver.6の統計値データ、2000年4月~)

/riken_nowcast
   ... GSMaP_RNC (理研AICS作成の予報データ GSMaP RNC、2017年8月~)

v5~v8等は降水量を推定するアルゴリズムのバージョンを表しています。2023年7月現在、v6が最も長期間の蓄積があるデータです。

GSMaP各データの特徴

GSMaP_NOW

観測後30分以内に利用可能な受動的マイクロ波観測を使用し、30分先の降雨量を外挿して求めたもので、データ精度は他のデータに劣ります。詳細はこちらのリンク先をご覧ください。

GSMaP_NRT, GSMaP_Gauge_NRT

GSMaP_NRTは観測4時間後に公開される準リアルタイムデータです。GSMaP_Gauge_NRTはGSMaP_NRTを雨量計の測定値で校正したデータです。詳細はこちらのリンク先をご覧ください。

GSMaP_MVK, GSMaP_Gauge

GSMaP_MVKはGSMaP_NRTにIRデータを加えて再解析したデータで、3日遅れで公開されます。GSMaP_GaugeはGSMaP_MVKを雨量計の測定値で校正したデータです。詳細はこちらのリンク先をご覧ください。

GSMaP_RNL, GSMaP_Gauge_RNL

GSMaP_RNLはGSMaP_MVKと同様の目的で2014年3月1日以前に再解析されたデータです。GSMaP_Gauge_RNLはGSMaP_RNLを雨量計の測定値で校正したデータです。詳細はこちらのリンク先をご覧ください。

GSMaP_CLM, GSMaP_RNC

GSMaP_CLMは統計データ、GSMaP_RNCは予報データで、本稿では扱いません。

かなえさん
かなえさん

要するに、リアルタイム解析ならGSMaP_NOW、過去データの解析ならGSMaP_Gaugeってことかしら。アルゴリズムはバージョン6がよく使われているようね。

GSMaPデータダウンロードの実際

GSMaP_Gaugeの2023年7月6日(今から3日前)の日本の1時間降雨データをcsvファイルでダウンロードしてみましょう。ffftpを使ってサーバーを開き、standard->txt->hourly->02_AsiaSE->2023/07/06と辿ります。(ちなみに、AsiaEEは東アジアを表します。地域名はリンク先のp.12に図示されています。また、txtではなくhourlyなど他のフォルダを選ぶとバイナリデータが得られます。)

Standardデータをcsv型式でダウンロード
Standardデータをcsv型式でダウンロード

最終的に、上図右端のように0時から23時まで1時間毎のデータのzipファイルが見つかります。なお、時刻はUTCで9時間足すとJSTになります。また、3時のデータは、3時から4時までの降雨量[mm/hr]です。

そうたくん
そうたくん

普通は雨量計の3時のデータと言えば2時から3時の雨量だから紛らわしいね。

下図は23時のデータをダウンロードしてExcelで開いたものです。カラムA, Bがセル中心の緯度, 経度、カラムCがGSMaP_MVK、カラムDがGSMaP_Gaugeです。降雨量はhourlyデータとdaylyデータは[mm/hr], monthlyデータは[mm/month]です。

csvデータの中身
csvデータの中身

ここまで来れば、GISなどで自由自在に扱えますね! 本記事のアイキャッチ画像はこのデータをQGISで表示したものです。Have fun!

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