SAGAで任意の点から上流の流域界ラスタを生成する

アイキャッチ, saga SAGA

QGIS 3.22LTRでSAGAのupslopeツールが使えなくなったため、代替法として、QGISとともにインストールされているSAGA GISを使って同じ作業を行う方法を紹介します。元ネタは以下のリンクです。比べて読むとよりわかりやすいと思います。

QGIS:任意の点から上流の流域界ベクタを生成する
実際の調査研究では、DEM領域内のすべての流域界を求めるより、特定の流路の特定の位置から上流について知りたいことの方が多いと思います。このためにはupslope areaツールを使います。

SAGAを起動し、DEMを読み込む

SAGAはスタートメニューのQGISグループの中に含まれていますので、起動します。

ウインドウ左下のData SourcesパネルのFile SystemタブからDEMファイルを探して①ダブルクリックすると、ウインドウ左上のManagerパネルに現れます。②は以下の解析で”Grid System”と呼ばれている領域データ、③は以下の解析で”DEM”と呼ばれているデータの名称です。

SAGAの初期画面
SAGAの初期画面

DEMを画面表示する

ManagerパネルでDEMを右クリックし、「Add to Map」をクリックすると図が表示されます。

DEMを表示する
DEMを表示する

窪地を埋めたDEMをつくる

使用するツールの名前はQGISと同じなので探すのは簡単です。ツール名はFill Sinks (Wang & Liu)なので、①をクリックして検索窓に②fillと入力し、③Okeyをクリックします。すると下図右下のように該当するツールがリストされるので、④を選んでOKします。

Fill Sinks (Wang & Liu)を探す
Fill Sinks (Wang & Liu)を探す

するとパラメータ入力画面が出ます。パラメータはすべてドロップダウンリストで選択するようになっています。Grid SystemとDEMはManagerパネルに表示されているものを選びます。左のカラムの”>>”は入力データ、”<<”は出力データを示しているようですが、出力については”<<create>>”以外に選べないので一時ファイルへの出力になっているようです。

Fill Sinks (Wang & Liu)のパラメータ設定
Fill Sinks (Wang & Liu)のパラメータ設定

Okayをクリックすると、下図左のようにManagerパネルに出力が追加され、右ボタンクリックで図示できます。

Fill Sinks (Wang & Liu)の実行結果
Fill Sinks (Wang & Liu)の実行結果

ストラー数ラスタをつくる

ツール名はStrahler Orderなので、Fill Sinksと同様、検索して起動します。パラメータは以下のように設定し、Okayをクリックします。

Strahler Orderのパラメータ設定
Strahler Orderのパラメータ設定

すると、Strahler OrderがManagerパネルに追加されました。下図右のように図示もできます。

生成されたStrahler Orderラスタ
生成されたStrahler Orderラスタ

求めたい流域の下流点の座標を読み取る

ストラー数の図はデフォルトで濃色が流路を示しているので、ツールバーでポインタを選び、下流の1点をポイントします。そしてウインドウ下端のポインタの座標を読み取ります。

下流点座標の読み取り
下流点座標の読み取り

流域界ラスタを作成する

ツール名はUpslope Areaなので、上記と同様に検索して起動します。パラメータは下図のように設定します。Target X coordinate、Target Y coordinateは下流点の座標です。

Upslope Areaのパラメータ設定
Upslope Areaのパラメータ設定
すだくん
すだくん

上の図のMethodがMultiple Flow Directionになっているのに気付いた?元ネタではDeterministic 8になってるのに、この説明を作る時には変更し忘れたんだ。おかげで結果が少し元ネタとは違っちゃった。最後の節の説明を見てね。

かわのさん
かわのさん

Deterministic 8はあるセルの水が8方向のうち最も勾配が大きな1方向にすべて流れるのに、Multiple Flow Directionは勾配に応じて分配されて流れるのよね。

Okayをクリックすると、下図のようにUpslope AreaがManagerパネルに現れ、図示もできます。

生成されたUpslope Area
生成されたUpslope Area

流域界ラスタを保存する

ManagerパネルでUpslope Areaを右クリックし、Save asを選びます。出力ファイル形式はいくつかリストされていますが、ここでは最も一般的なGeoTIFFを選んでみました。

Upslope Areaの保存
Upslope Areaの保存

流域界ラスタをQGISに読み込む

上記で作成したUpslope Area.tifを、DEMとともにQGISに読み込みました。QGISの解析では流域界ラスタは0か100の2値でしたが、本稿では値の分布を持っています。赤い部分は30~50の値で、白い部分はおよそ1以下の値です。上でかわのさんが説明してくれたように、Multiple Flow Directionではあるセルから複数の方向に水が流れる可能性があるので、上流部では、指定した下流端の流量に寄与する率が1以下になることがあるからです。Methodの選択肢を詳しく調べたら面白そうですね。

QGISでApslope Areaラスタを開く
QGISでApslope Areaラスタを開く

SAGA GISのことをきちんと勉強したわけではありませんが、QGISのことがわかっていればそれなりに使えることがわかりました。みなさんも恐れずトライしてみましょう。 Have fun!

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